◆森田京平(クレディ・アグリコル証券 チーフエコノミスト)
日本経済は、2019年1~3月期の実質GDPの伸び率はマイナスになり、2四半期連続の減少となる。主因は新型肺炎である。第1に、中国からの観光客を中心にインバウンド需要が蒸発。第2に、中国で製造業の生産活動が一時停止に追い込まれたことで、モノの輸出と設備投資が減少。第3に、感染を避けるため消費者の出足が落ち、個人消費が減少。ただし、中国からの訪日者数が最も増えるのは例年、7~8月。それまでに新型肺炎を終息させられれば、中国からの訪日者数の増加局面に間に合う。しかも東京オリンピック・パラリンピックと重なる。このタイミングを逃すことなく終息すれば、20年後半の日本の景気の視界は晴れるだろう。
◆吉川雅幸(三井住友DSアセットマネジメント チーフマクロストラテジスト)
19年10~12月期は消費増税と自然災害の影響が重なり、マイナス成長の幅が拡大した。10~12月期の資本財出荷の落ち込みが建設関係で顕著であることから、10~12月期の落ち込みは一時的要因の影響が大きかったが、新型肺炎の影響で1~3月期もマイナス成長となる見通し。景気後退局面に入ったかどうかが議論になるだろう。新型肺炎の影響が長期化しなければ(1四半期程度ならば)GDPの押し下げ幅は年0.1%程度と推定され、日本経済は4-6月以降回復軌道に復帰できるだろう。長期的に見ると米国などと比較して経済の情報化、サービス化が遅れていることが、成長率の下振れが大きくなる一因。構造改革を巡る議論を改めて活性化させるべきだろう。
◆武田洋子(三菱総合研究所 政策・経済研究センター長)
20年度の実質GDP成長率は、消費税増税による家計負担増加に、新型肺炎の感染拡大による下押し圧力が加わったため、前回(19年12月9日時点)から0.3%ポイント下方修正し、0.2%とした。中国経済の1~3月期の成長率は、新型肺炎の感染拡大による(1)消費の抑制、(2)企業活動の制約、(3)サプライチェーンの寸断を通じて、現時点で6%から4%への低下を見込む。日本経済にも、(1)中国現地法人の売上減少、(2)中国向け輸出の減少、(3)観光客の減少、(4)部品調達制約による生産減から、下押し圧力がかかる。リスクシナリオとして、(1)感染拡大の長期化による世界経済の一段の下振れと、(2)中国のバブル崩壊が懸念される。(2)については中国の中小企業の資金繰りは厳しさを増しており、倒産を加速させる可能性がある。
◆河野龍太郎(BNPパリバ証券 経済調査本部長)
製造業の生産・輸出に供給・需要の両面で悪影響をもたらすこと、企業収益への悪影響を通じ設備投資を抑制すること、インバウンドと個人消費の落ち込みで内需セクターにもマイナスの影響を及ぼすことなどから、新型肺炎のダメージは大きい。1~3月期の中国の経済収縮は避けられず、日本も2四半期連続のマイナス成長に陥る可能性が濃厚。2月中旬からは日本でも感染を恐れて外出を控え消費が低迷、企業で商談・出張をキャンセルする動きも見られる。中国で感染拡大が3月末までにピークを打っても、中国経済には4~6月も後遺症が残るため、日本経済が持ち直すのは7~9月以降となる。最大のリスクは、日本での感染の広がりを理由に、東京オリンピックの開催が延期・中止となることで、多大な悪影響が日本経済に及ぶ。



