◆斎藤太郎(ニッセイ基礎研究所 経済調査部長)
20年1~3月期は、駆け込み需要の反動が和らぐことから国内需要が持ち直すものの、新型肺炎拡大の影響で、財・サービスの輸出が大きく落ち込み、前期比年率1.0%減と予想している。景気は18年秋頃をピークに後退局面入りしている可能性が高い。新型肺炎による中国からの訪日客の減少と中国工場の操業停止に伴うサプライチェーンの寸断によって、20年1~3月期の財・サービス輸出は5640億円減少し、実質GDPは0.4%(年率で1.6%)低下すると試算している。現時点では、新型肺炎は20年4~6月期に終息することを想定している。この場合、東京五輪が開催される2020年夏場まで高めの成長となるが、20年度後半は押し上げ効果の剥落から景気の停滞色が強まるだろう。
◆美和 卓(野村證券 チーフエコノミスト)
新型肺炎拡大の影響の予測は、中国主要都市の閉鎖が2月末まで継続することを前提としている。IT(情報技術)関連産業の在庫調整終了を起点に、内外景気は19年年央には循環的に底入れしたとみている。ただ、新型肺炎以外にも回復の阻害要因が散見される。国内設備投資は、主に非製造業の省力化需要の強さを背景に底堅く推移するとみているが、内外製造業の設備投資意欲には弱さがみられ、底入れ後の実質輸出の回復力にも影響する恐れがある。乗用車販売の低迷、消費者心理悪化など、消費増税後の消費の基調低下に繋がる不安材料も存在する。これらを踏まえると、新型肺炎終息後も、景気の力強い加速を想定するのは困難だろう。
◆青木大樹(UBSウェルスマネジメント 日本経済チーフエコノミスト兼日本地域最高投資責任者)
新型肺炎に伴う中国のサプライチェーン停止の影響は、現在市場が想定している以上に大きいと見る。2四半期連続のマイナス成長は避けられないのではないか。一方、4月以降は生産の回復、経済対策や補正予算の早期執行が期待できることから、景気はリバウンドするだろう。7~9月期以降は従来の成長トレンドに近い姿に戻る。世界的な輸出環境の回復から、10~12月期以降は外需の寄与度もプラスが定着するだろう。アップサイドリスクは、早期のサプライチェーン回復や中国の経済政策のよる景気予想の上振れ。一方、ダウンサイドリスクは7~9月期以降も新型コロナウイルスの影響が残ることで、生産やインバウンド消費の冷え込みが残り続けること。
◆牧野潤一(SMBC日興証券 チーフエコノミスト)
製造業中心の世界経済の減速は、19年10~12月期から反転し、20年は循環的に上向く。国内では、19年10~12月期に台風の影響からGDPや鉱工業生産が急減したが、数カ月以内に復旧する見込みであり、20年1~3月期には強いリバウンドが予想される。また消費増税の影響は軽微であり、増税後の所得環境も実質所得はプラスを維持している。さらに、20年度からは政府の景気対策が執行される。日本経済は21年に向け、緩やかに回復していくとみられる。新型肺炎の影響については、日本の対中輸出は中国内需というよりも中国の輸出との相関が強い。武漢市のある湖北省の輸出額は全体の1.4%であり、輸出拠点ではない。日本の対中輸出が大幅に減少することはないとみている。
◆村瀬拓人(日本総合研究所 副主任研究員)
世界的なIT需要の底入れ、雇用所得環境の持ち直し、政府の経済対策などを支えに、景気は再び回復軌道に戻ると予想するものの、新型肺炎の影響により、景気が持ち直す時期はこれまで想定していたより後ずれする。1~3月期の成長率は、インバウンド需要の減少だけで、前期比年率0.8%ポイント程度下押しされる見込み。中国人観光客だけでなく、他国からの訪日客も減少する公算大。国内での感染者数の増加により、国内家計の消費活動にも悪影響。現時点では、3月中に新型肺炎感染者の拡大に歯止めがかかるとの想定で、4~6月期の景気の持ち直しを予想。流行が長期化すれば、国内の消費・企業活動が大幅に制限されることで、景気低迷の長期化が不可避。
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(2020年2月26日 9:40 ダイヤモンド編集部)



