勤務先の休業手当がなくでも
傷病手当金で対応可能

 労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者にその平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と規定している。

 そのため、新型コロナウイルスに感染しているかどうか分からない段階で、発熱などの症状がある従業員を一律に、会社の判断で自宅待機させるような場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」となり、勤務先が休業手当を支払う義務が出てくる。

 だが、新型コロナウイルスは指定感染症(2類感染症相当)となっているため、新型コロナウイルスに感染している、都道府県知事による就業制限の対象となった従業員を休ませても、この規定には該当せず、会社には休業手当を支払う義務はない。

 では、感染者には何も補償がないのかというと、そのような心配はない。一定要件を満たせば、会社員の人は健康保険から傷病手当金をもらうことができるからだ。

 傷病手当金は、会社員が病気やケガで仕事を休んで、会社から給料をもらえなかったり、減額されたりした場合の所得補償。仕事を連続して3日休んだ後の4日目から、最長1年6カ月間に、実際に休業した日数に対して給付される。1日あたりの給付額は、平均的な日給の3分の2(※2)だ。

(※2)傷病手当金の支給開始日以前の連続した12カ月の各月の標準報酬月額の平均を30日で割った日給の3分の2。就職後すぐに病気になり、休職までの期間が12カ月に満たない場合は、就職してから休職するまでの標準報酬月額の平均と、28万円(協会けんぽの場合。全加入者の標準報酬月額の平均)を比べて、少ない方の金額をもとにして1日あたりの給付額を計算する。

 傷病手当金の支給要件は、「労務不能の状態」であればいいので、入院や通院をしていなくても、自宅療養でも対象になる。もちろん新型コロナウイルスによる自宅療養も支給対象だが、通常、仕事ができない状態であるかどうかは主治医が判断しており、申請には医師の診断書(意見書)が必要だ。

 だが、今回は感染拡大を避けるために、医師の診断を受けず、自宅療養することが求められている。新型コロナウイルスに感染していても、軽症ならそのまま治癒する人もいるだろう。

 そのため、特例的に医師の診断書がなくても、会社が労務不能の状態であると認めた場合は、傷病手当金を受給できるようにすることも検討されているという。詳細は今後明らかになっていくはずだが、医師の診断書がなくても傷病手当金を受給できる可能性があるので、発熱や風邪の症状があるのに無理して出勤するのは絶対に避けたい。