万一の失業に備える「雇用保険」。これがあるからこそ、サラリーマンは、会社が倒産したり、自分の都合で仕事を辞めたりしても、次の仕事が見つかるまでの一定期間、生活していくことができる。
だが、雇用保険の基本手当(失業給付)は、失業した人が、次の仕事を見つけるまでの間、生活費の心配をせずに就職活動に専念できるようにすることを目的に支払われるものだ。つまり、失業給付を受ける大前提として、働く意志や能力があることが条件にある。
そのため、原則的に病気やケガの療養中で働くことができない人は、失業給付を受けることができない。
病気やケガが治ってから申請してもよいが、失業給付の有効期間は、原則的に1年以内。療養している間に給付期間が終わってしまい、せっかくの給付を受けられないこともある。
せっかくの保障を無駄にしないように、今回は、病気やケガの療養が終わったあとに失業給付をもらえるようにする裏ワザについて見ていこう。
病気やケガで長期療養するときは
まずは「会社の病気休暇」をチェック
2018年6月、働き方改革関連法が成立し、2019年4月から2023年にかけて順次施行されることになっている。
関連法では、長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現によって、それぞれの人の事情に合わせた多様な働き方を選択できる環境を作り、人口減少が進む社会のなかで労働力を確保すことを目指している。
多様な働き方には、病気やケガで療養中の人も働ける意味合いが含まれており、ここ数年は、がんや難病、精神疾患などで長期療養を必要とする労働者に対する「仕事と治療の両立支援」が企業に求められるようになってきている。
2016年2月には、厚生労働省が「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を策定。これは、治療と仕事を両立させる支援制度、企業が従業員に対して行うべき配慮などをまとめたもので、今年3月には改訂版も出されている。