インフルエンザに罹患したAは約1週間の休みを余儀なくされた。だが、今年度の有給休暇はほとんど残っておらず、欠勤扱いとなれば、給料が大幅に減額されてしまう。病気休暇制度がないことを理由に減給を求める社長のBと、法律違反を主張するA。どちらの言い分が正しいのか。(社会保険労務士 木村政美)
従業員数30名の建設会社。
<登場人物>
A:28歳。20歳で専門学校卒業後に入社、現在設計を担当している。5年前からソーシャルゲームにハマり、現在は1カ月間に約10万円課金、代金は翌月クレジットカード払いにしている。
B:甲社の社長。50歳。
C:Aの兄。30歳。大手企業に勤務している。
D:甲社の顧問社労士。
「体がとてもだるい。それに背筋がゾクゾクする」
1月中旬の土曜日。昼過ぎに目覚めたAはベッドから起き上がろうとしたが、再び布団の中にもぐりこんだ。
「寝冷えで風邪を引いたか、夜中ゲームをしていたせいで疲れているのかも。ま、いいや。今日1日寝ていれば明日には治るだろう」
ところが翌朝になると、今度は体中の関節が痛くてたまらない。さらに頭がフラフラするので熱を測ってみたら、何と40度もあるではないか。
「もしかすると風邪じゃなくてもっとヒドイ病気だったりして…。とにかく病院に行かなきゃ」
あわてたAは、ネットで日曜日でも診療している近所の病院を探し出し、診察を受けると医師に言われた。
「インフルエンザですね。治るまで会社はお休みしてください」