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レビュー

 フィンランドは、世界一コーヒーの個人消費量が多い国である。フィンランド人ではなくとも、コーヒーは日常生活に欠かせないという人は少なくないだろう。日本でもサードウェーブといわれるコーヒー店が街角に軒をつらね、にぎわいある風景の一部としても一役買っている。しかしこんな身近なコーヒーも、大量消費と気候変動によって、遠くない将来、今までのようにいつでも気軽に飲めるものではなくなるかもしれない。

『世界からコーヒーがなくなるまえに』書影
『世界からコーヒーがなくなるまえに』 ペトリ・レッパネン、ラリ・サロマー著 セルボ貴子訳 青土社刊 1800円+税

 本書『世界からコーヒーがなくなるまえに』のアイデアは、フィンランド人である著者の二人が、ストックホルムのコーヒー・フェスティバルで、あるブラジル人の親子に出会ったことに始まる。彼らとの出会いをきっかけに、フィンランド人の二人は「世界で最もコーヒー個人消費量の多い国民が、世界でもっともコーヒー生産量の多い国へ」と、ブラジルへ旅立った。

 本書の原題は『コーヒー革命』。ブラジルへの旅を通して、どんな人たちがコーヒー豆を栽培しているのか、また、我々の選択がコーヒー生産国の人々や地球環境にどんな影響を及ぼしうるのか。消費者のこうした疑問に答える本書の存在こそが、これからますます貴重になるコーヒーを大切に飲むための一歩になるだろう。

 環境にも経済にも良い影響を及ぼし、しかもおいしいコーヒーが飲める未来に向け、著者二人は消費者である私たちの行動に「革命」を促す。本書がコーヒーだけでなく、食のサステナビリティを考えるにあたり、よい示唆をくれることは間違いない。(菅谷真帆子)