実際、SNS上の掲示板などでは、下記のような書き込みが目立つ。

「日本はわが国のように手際よく管理する能力はないだろう」

「日本の“仏系”予防対策が緩くて驚きだ」(“仏系”はもともと日本由来のスラングで、気にしない、こだわらない、淡泊といった意味)

「日本はわれわれの宿題を写すことさえできないのだ」(自分たちの経験ややり方が目の前にあるのに参考しないとの意味)

 など、既に「コロナウイルスに対する勝利者」という立場で語り、いわゆる「上から目線」の雰囲気さえ感じられる。

「ウイルス封じ込め」の犠牲は
決して少なくない

 確かに「武漢封鎖」をはじめ、「ウイルスを抑えるのにすべてを惜しまない」という中国政府の意気込みは凄まじかった。全国一斉に徹底した強硬措置を講じながら、ITの力をフルに発揮させ、14億の人口を有する巨大国家の舵をスピーディーに切った。その結果、「ウイルスの封じ込め」に成果を上げつつあるのは認めざるを得ない。

 そして、中国政府は早くも「一連の強硬策が奏功した」という“中央集権の優位性”を世界に向けてアピールしている。

 しかし、この状況を冷めた目で見ている国内外の中国人も少なくない。

 実際、この「いかなる代償も惜しまない」という強行措置でもぎ取った「成果」の裏では、国民にどれだけの犠牲を強いて、経済や人々の生活にどんな大きな影響をもたらしたことか。

 その犠牲は、決して少なくはなかった。

武漢をはじめ
各地の医療現場は混乱した

「震源地」である武漢が1月23日に封鎖されてから現在までもう50日近くになる。1月中旬から感染が蔓延している中、この1100万人の都市はパニックになった。人々は医療機関に殺到し、大勢の患者が病院の中に入りきれず、外にまであふれていた。医療現場は混乱状態になり、完全崩壊の寸前にまで至った。そして、多くの医療従事者が感染した。現在の統計では約3000人が感染して生死をさまよい、10人が命を落とした。