3月14日で金沢まで延伸して5周年を迎える北陸新幹線。開業5年目は台風と新型コロナのダブルパンチで厳しい結果となりそうだが、これらの天災を除けば順調に推移してきた。一方で懸念されるのは、並行在来線問題。新幹線延伸に合わせてJRから経営分離されて第三セクターが誕生しているが、この並行在来線各社の経営問題が今後の焦点である。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

台風とコロナのダブルパンチ
開業5年目は試練の年に

北陸新幹線は開業5周年を迎えます。
今年度は台風や新型コロナの影響で苦戦した北陸新幹線だが、こうした要因を除けば、事前の予測以上に健闘してきた Photo:PIXTA

 2015年3月14日に北陸新幹線が金沢まで延伸してから5周年を迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、直近の利用者は激減。各地で予定されていた開業5周年イベントも軒並み延期、中止されるなど、寂しい節目となってしまった。

 とはいえ、ここ5年を振り返れば北陸新幹線が事前の予測以上に健闘していることは間違いない。東京~金沢間の所要時間は、上越新幹線越後湯沢駅から在来線特急「はくたか」に乗り換えて約3時間50分だったのが、開業後は乗り換えなしの新幹線「かがやき」で約2時間30分に短縮された。開業後1年間の利用者は925.8万人で、これは在来線特急「はくたか」時代の約3倍に相当する数字である。

 JR西日本は開業前、北陸新幹線の利用者数(上越妙高~糸魚川間)は在来線特急(直江津~糸魚川間)の2.2倍程度と想定していたので、予想を大きく上回る順調な滑り出しとなった。開業効果が薄れた2年目は829.5万人と減少したが、3年目は856.9万人、4年目は869.4万人と、その後は利用者数を延ばし続けている。

 しかし、5年目は試練の年となった。JR西日本金沢支社によると、2019年3月14日から2020年2月末までの利用は790.6万人で、前年同期間と比較して約6%の減少だった。特に台風19号の被害で約2週間運休した昨年10月は前年同月比47%減の41.4万人と大幅に減少。3月に入って新型コロナウイルスの影響拡大により、3月1日から7日の北陸新幹線の利用状況は前年同期比5割以上の減となっていることから、5年目にして最低値を記録する見通しだ。

 新型コロナウイルス終息の見通しは立っておらず、今後の推移を予測することは困難だが、北陸新幹線の開業から5年間を振り返りつつ、今後の展望を見てみよう。

 国土交通省の「旅客地域流動調査」によれば、JRを利用して東京、大阪と北陸三県(富山・石川・福井)を移動した旅客数は、北陸新幹線開業前の2014年と最新の調査結果である2017年の比較で、大阪~富山間がマイナス2%、大阪~石川間がプラス13%なのに対し、東京~富山間は約2倍、東京~石川間は約2.6倍に増加している。大阪~福井間はプラス4%、東京~福井間はマイナス5%だから、北陸新幹線金沢開業によって富山、石川と東京の間の流動が一気に活発化したことがうかがえる。

 北陸新幹線は現在、2023年春の開業を目指して金沢~敦賀間で延伸工事が進められている。これにより、東京~福井間は現在の約3時間20分(金沢乗り換え)から、直通で2時間50分程度に短縮される予定だ。これまでは文化、経済の両面で関西圏の影響が強かった福井であるが、今後、富山、石川と同様に東京との結びつきを強めるのかが注目される。福井としても東京からの観光客の増加に寄せる期待は大きいようだ。