出張は大変だが、密かな楽しみ出張は大変だが、密かな楽しみでもある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

多い人の場合は月に何度もある出張。年をとるに従って、長距離移動がしんどくなるものではあるが、とはいえ出張ならではの楽しみもある。いや、ささやかな楽しみぐらい、見つけたい気持ちになる。出張中のビジネスパーソンだって小さな自分だけのご褒美があって、いいじゃないか。(取材・文/フリーライター 藤井弘美)

ちょっとした非日常へ
出張は“命の洗濯”

 出張は日々の業務の一環である。出張先で行われる予定の会議、視察、研修、コンペといったタスクは場合によってはプレッシャーであり、出かける前から胃がキリキリと痛んで憂鬱に感じることもあろう。

 しかし、なんといっても出張である。口うるさい上司やみっともないところを見せられない部下、そして家庭すらももはや出張に赴いたおじさんを縛りはしない。普段の環境から解き放たれたおじさんの可能性は無限大である。

 とはいえ、あまり大きく羽目を外すつもりもない。

 出張はあくまで「仕事」であるからしてサラリーマンとして、また家庭人として培ってきた良識にのっとった範囲で、束(つか)の間の小さな自由をささやかに楽しみたいだけなのだ。小学生の頃あれほど楽しみだった遠足よりも、ひょっとしたら出張の方が待ち遠しいかもしれない。毎日精神をすり減らして仕事をがんばっているのだ、少しくらい出張を楽しみにしたって罪はないはずである。

 さて、出張の「ささやかな楽しみ方」にはどのようなものがあるのだろうか。中年男性を中心とした聞き取り取材を行ったので、その結果をご報告したい。