年収2000万円ダウンでも
転職した人の「先見の明」

 だいぶ前の事例になりますが以前、危機感の持ち方という点で見事な候補者の方がいました。

 この方は商社で石油などのコモディティー取引に従事した後、腕を買われて外資系金融機関からヘッドハンティングされて転職し、年収は3000万円に達していました。年齢は当時、30代後半でした。

 そしてある人の紹介でお会いしたところ、「転職したい。商社時代にリクルーターをやったとき、優秀な人をたくさん採用できて楽しかったので、人事の仕事をしたい」と。正直、最初は戸惑いましたが、詳しくお話ししてみると非常に素晴らしい人物で、確かにこの人なら採用で結果を出せるだろうと思いました。

 そこで懇意にしている外資系企業がちょうど人事部長を探していたので、「人事の経験はないがこんな素晴らしい人物がいる」と打診したところ、「そこまでおっしゃるなら一度お会いしましょう」という話になり、面談の場を設けたところ一発で気に入られ、転職が決まりました。

 ただし、年収は3000万円から1000万円へと激減しました。「本当にいいんですか?」と私が訪ねると、候補者の方はこう言いました。

「丸山さん、この仕事はいずれなくなるんです」

 その時はよくわからなかったのですか、確かにその後、金融機関のトレーダーは減っていきました。先見の明があり、自分のキャリアにも危機感があったからこそのチャレンジだったのだと思います。

 なお、この候補者の方は転職先の外資系企業で出世を重ね、本社の役員にまでなりました。