他方、資金はとりあえず潤沢だとしても、欧州と米国の間で人の行き来ができない状況の影響は未知数であるし、今後、当分の間消費が低迷することは確実で、資金繰りに窮する企業が出てくる公算が大きい。

 また、30ドルを割り込んでいる原油価格は、米国の多くのシェールオイル掘削業者にとって「採算割れ」であって、遠からず資金繰りに窮した業者が倒産したり、社債がデフォルトしたりする可能性がある。原油価格の下落に対しては、産油国あるいは、産油国の需要に頼っている国などの国際金融的な困難につながるケースが考え得る。

「今回は一時的な不況と株価の下落だけで、これは、金融的な危機には至らない」とタカをくくることはできない。

 わが国は、国内感染者の増加数や死者の数などから見て、ヨーロッパや米国よりも状況を相対的にうまくコントロールしているようにも見える。しかし、仮に国内の新型コロナウイルスの流行が終息に向かっても、外需に大きく依存する経済なので油断はできない。

 金融機関の自己資本が相対的に厚く、大手金融機関が破綻するような状況にはないことに油断して、リーマンショックの影響を軽微だと見誤った政策的間違いを繰り返すようではいけない。

 日本銀行は、上場型投資信託(ETF)の買い入れ上限の目処を年間6兆円から12兆円に引き上げた。しかし、購入代金の大半は銀行の預金に滞留するので、金融緩和としての効果は乏しく、また、株式市場でも日銀のETF購入のパターンは市場参加者に読まれていて、株価に対するインパクトが乏しい。

 政策としては日銀の金融政策に頼るのではなく、財政政策的な後押しが必要だ。

「可能性まで含めると、リーマンショック級の事態だ」と言われて、反対する国民は少ないだろう。

 昨年の消費税率引き上げ前に「『リーマンショック級の事態』にならない限り予定通り引き上げる」と言っていたのだから、目下の事態に対する警戒を「リーマンショック級の事態」に対するものと考えて、消費税率を緊急的に引き下げるとよかろう。