灯台下暗しだった
パン×スープの組み合わせ

「『こげぱんクルトン』は、パン生地を2度焼きしてあるので、通常のクルトンよりもカリッとした食感と香ばしさが特徴です。サラダのトッピングとしては主張が強かったのですが、スープに入れるとクルトンの特徴が際立ち、とてもおいしく感じられました」(同)

 こげぱんクルトンとスープとの相性はバツグン。また、食べごたえがあり、満腹感が得られることから、追い求めていた“食べる具材”の条件を満たす味わいだったという。

「そもそも“こんがりパンとスープ”は、多くの人が一度は口にした経験があるごく普通の食べ方。とても身近な組み合わせなのに、当時はどのメーカーもパン入りカップスープを商品化していなかったので、すぐさま商品化に踏み切りました。また、当時私自身がトーストしたパンをスープに浸して食べるのがマイブームだったのもひらめきに役立ちました」(同)

人工クラゲ開発がカニカマに化けた!失敗から生まれたヒット商品列伝2019年12月現在、カップ入りスープのナンバー1に輝いた「こんがりパン コーンポタージュ」。気軽に1品足せるのが人気の理由だという

 松浦氏のアイデアによって、ありそうでなかった「パン入りカップスープ」は誕生した。新しい商品…と考えると斬新な具材に目が行きがちだが、パンとスープという一見普通の組み合わせが、新たな可能性を導きだすケースもあるのだ。

「私たちが開発中に意識していたのは、新しさとお客様のニーズ。このふたつが合致する商品を作り出すために、さまざまな具材を試して『おいしさ』と『新しさ』を、あらゆる角度から繰り返し考察した結果、こんがりパンを入れるというひらめきにつながったと考えています」(同)

 2002年の秋に販売をスタートした「じっくりコトコト こんがりパン」は順調に販売数を伸ばした。2011年に発売された「こんがりパン コーンポタージュ」はカップ入りスープの売り上げナンバー1に輝き、累計販売個数5億を超えるメガヒット商品になっている。

 スギヨとポッカサッポロ、両社に共通するのは「多角的な視点」と「徹底した試行錯誤」だった。“偶然”と言ってしまえばそれまでだが、その偶然は開発者たちの努力がもたらすもの。彼らの粘り強さこそが、成功の秘訣なのかもしれない。