人生、何がおこるかわかりません。順調にいくこともあれば、逆風にさらされることもあります。経済状況が混とんしている今、お金こそが命綱です。そんな大切な命綱ですが、あなたと伴侶の二人を支えるだけの強度はありますか。なにかのための備えは日頃からきちんとやっていく必要があります。急に慌てても間に合わないので、元気な今のうちから少しずつ準備を始めていきましょう。
そこで、ご夫婦や子ども向けにお金の教育活動をしているお金のソムリエ協会会長による新刊『夫婦1年目のお金の教科書 夫婦生活はお金の相性で決まる!』から、夫婦1年目がよくモメるテーマから生まれた疑問を基に、新婚さんはもちろん、結婚を控えているカップルから熟年夫婦に至るまで、お金が増えて貯まる最高の家計術を42項目にわたって紹介していきます。

「人生の三大出費」と呼ばれる理由

 人生で一番大きな出費は「税金+社会保険料」です。平均すると生涯収入の2割前後に相当します。2番目が住宅費、3番目は食費です。意外なことに教育費は数%です。

 老後資金に至っては、食費や住宅費、水道光熱費などの集合体であって、老人だから必要になる特別な費用ではありません。

 それなのになぜ、教育費・住宅費・老後資金が「人生の三大出費」と呼ばれるようになったのか。それは、この3つの出費がすべて、必要になったときに慌てて工面しようと思っても、短時間では準備が間に合わない出費だからです。

 実家から独立して生活を始めたら、誰だって住む部屋が必要ですし、食事も必要ですから、住宅費や食費などの生活費は毎日のように意識します。

 ところが、10年後・20年後・30年後の出費はずっと先のことなので、あまり深くは考えない。だからこそ、三大出費に対して意識的に準備することが必要なのです。

 老後資金は不可避です。誰しもいずれ働けなくなる老後を迎えますが、寿命はどんどん伸びていて、年金も必ずしも万全とは言い切れません。だからこそ、必要十分な老後資金を準備したいと思います。

 逆に一番融通がきくのは、住宅費です。マイホームは数千万円の買物ですが、みんなが家を買うとは限りません。住む家は絶対に必要ですが、それが賃貸であっても特には困りません。そのときの生活スタイルや家族構成に合わせて、最適な部屋を借りて生活すればいいので、突然大きな出費が出てくるわけではありません。

 最後に教育費ですが、子どもの進路が予測できないので、教育費がいくら必要になるのかはそのときになるまではわかりません。必要な金額がわからない以上、準備のしようがありません。とはいえ、大学まですべてを国公立に通う場合が一番教育費がかからないので、最低限その金額を用意する必要はあります。

 本書でお伝えしますが、子ども2人分であれば合計1000万円積み立てれば大丈夫です。子ども1人あたり約200万円の児童手当がつくので、実質的には600万円で足りる計算になります。仮に医学部や私立大学に進学したとしても、奨学金制度を利用すれば、足りない部分も何とかなります。

 このように人生設計という意味では、ご主人が言うように老後資金は若いうちから意識すべき支出項目です。家族計画にもよりますが、奥さまが言うように教育費も外せない支出項目です。