最近では、収入を別々に管理しているご夫婦が意外と少なくありません。問題なく家計を回せているご家庭もありますが、家計管理をそれぞれが行うこの方法(私はこれを「夫婦別財布」と呼んでいます)では、すれ違いや思い込みで、お金が貯まらない状況に陥ったり、お金のやりくりができない状況になったりするケースを多く見受けます。
たとえ別財布であっても、夫婦で一緒に管理している部分が多いご家庭は比較的うまくいきますが、それぞれの管理する部分が大きいご家庭はトラブルが起こりやすい傾向にあると感じます。
また、別財布のご夫婦の場合、一方に収入がなくなったときにどう生活をサポートし合うのかの策がない場合が多く、収入がない人が貯金を切り崩して生活費を負担していくケースも多く見られます。その場合、ご夫婦の信頼関係を揺るがす可能性もあるため、事前によく話し合っておく必要があります。
そしてそういう状況は、共働き家庭で妻が妊娠・出産をするときに起こりやすいものです。
産休・育休中も夫婦別財布を継続
「妻のやりくりが下手」と家計相談へ
Cさん(38歳)は会社員で、妻(36歳)も別の会社で会社員として働いています。結婚してからの家計は「互いに収入から同額を出し合う」というやり方で、毎月15万円ずつ出し合い、合計30万円で生活しています。夫の出す15万円は、毎月家賃で消えてしまいます。妻の15万円は食費をはじめとした生活費や、水道光熱費として使っています。
生活費としてそれぞれ15万円を出し合った後の給料の残りとして、夫が15万円ほど、妻は7万円ほどが手元にのこりますが、それは互いに自分の小遣いとして管理しています。
結婚してしばらくは子どもができなかったため、こういった出し合う形式の家計やりくりが当たり前になっていましたが、2年前に子どもを授かりました。妻が34歳のことです。妻は何とか勤め上げて、産休に入りました。会社の仕組みでは産休中は給料が出ず、産休後に出産手当金を申し込む形になっています。
Cさんは妻に「負担を軽くしてほしい」と相談されましたが、あとで手当が入るのに自分ばかりが負担するのは平等ではないと思い、「自分の生活費負担分はきちんと自分で払ってほしい」と言ったそうです。
そのため、妻は産前産後の休暇中はもちろん、育児休業中も、独身時代に貯めた貯金から生活費を負担するようになりました。出産費用も出産一時金を超えてかかりましたが、妻一人で負担していました。