そして、ショックで株が下がるときには、必ず株価は行き過ぎの水準まで下がります。理論的な価格よりもずっと低いところまで、心理的要因によって下がるのです。こうしたことが毎回、同じように起きることが経験則上わかっています。

 では金融理論的には、どのあたりまでの下落が適正なのでしょうか。ものすごく単純化したモデルで、ざっくりと株価の理論的な下落水準(これは実際の相場の暴落水準よりは、必ず上の価格になります)を推定してみましょう。

 まず、当初の日経平均が2万4000円くらいだった頃の理論モデルはこんな形です。

【モデル1】1株あたり毎年1700円を稼ぐ会社の理論株価は、その14年分にあたる2万4000円になる。

 ところが、ここでコロナショックが起きて、前提が変わります。

【モデル2】前提が変わってコロナ恐慌が起き、2020年の利益は逆にマイナス1700円の赤字に。翌2021年も被害が続いて、2021年は収支がトントン(ゼロ円)、2022年にようやく経済が回復して、また利益が元の1700円水準に戻る。

どんなにひどいショックでも
理論的な下落幅は1万8000円台まで

 これらのモデルにはべつに決まったルールがあるわけではなく、理論家が自分で「そうなるだろう」と考える水準を設定すればよいのですが、私が設定した【モデル2】の場合、2020年からの14年分の利益を合計すると1万8700円になります。これが「たとえば」という形である前提条件を置いた場合の、金融理論的に適正な株価です。言い換えれば、理論的に推定される日経平均の下落水準なのです。

 ここで私の設定した【モデル2】が、ものすごく影響の大きい仮定になっていることに注目してください。これをトヨタ自動車にたとえたら、「営業利益2.5兆円のトヨタの業績がコロナショックで一転して2.5兆円の大赤字となり、翌年もその余波で収支はトントン、元に戻れるのは2022年」という前提を置いていることになります。【モデル2】は同じ前提条件を、日経平均株価を構成する上場企業225社すべてに置いたモデルなのですが、そこまでひどい不況が来たとしても、日経平均の下落幅としては1万8000円台までが適正だという推定です。