ニューヨーク市が地方自治体としてすべきことは明らかだ。いずれ休校となることは避けられそうにない以上、それでも困らない準備を整える必要がある。

 子どもの暮らしと育ちと学びを守るためには、家族の「住」を守る必要がある。子どもの将来のために、学校や学区を選んで住んでいる家族も多い。米国西海岸では、住居を喪失した一家が子どもの転校を避けるために車上生活するケースもある。しかし、徒歩と公共交通機関のみで暮らせる地域も多いニューヨーク市の市民には、「車上生活でしのぐ」という選択肢すらない。

 もちろん、親の就労と収入の維持は重要だが、本人に就労意欲があっても、仕事や職場が激減している。結局は一時給付金、長期化するのなら社会保障制度ということになるだろう。その際、不法移民や住民登録していない人々をどうするのか。まずは、その人々を含めて地域全体を守る必要がある。休校や営業制限や外出禁止は、手段の一部だ。

 3月に入ると、ニューヨーク市でも営業制限が現実味を帯びてきた。3月7日、集会・劇場・コンサートホール・飲食店等に対する1ヶ月間の規制を行うニューヨーク州知事命令が発されたのだが、1週間の猶予期間が設定され、3月14日から実施されることとなった。また、実施は段階的に、状況を勘案しつつも「やりすぎ」は抑制しつつ、柔軟に行われている。3月19日現在も、飲食店の持ち帰りやデリバリーは規制されていない。収入減少や失業者の急増は、若干は抑制されているはずだ。

まず全員で生き延びる
そして子どもたちに教育を

 とはいえ、もともと非正規雇用が拡大していた米国では、事業者の営業制限とともに、簡単に失職する「ギグ・ワーカー」が多い。トランプ大統領は、野党・民主党の議案を承認する形で、3月13日に失業給付の拡大や有給休暇の保障などを盛り込んだ政策に署名している。さらに、国民への現金給付を含む約100兆円規模の財政出動を行う見通しだ。どうしても、まずは現金給付なのだ。

 現金給付の手前で確保する必要がある「住」は、市とニューヨーク州が対応した。市は、立ち退き要求に対しては法律扶助(日本の「法テラス」に類似)、家賃や公共料金の滞納に対しては緊急資金援助(給付)の利用を奨励した。