中国駐在の米外交官大量帰国、危機下の関係損なう
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 【北京】中国駐在の米外交官が大量帰国したことで、米政府の中国におけるプレゼンスは低下している。この事態は緊張が高まる状況下で超大国間の相互関係をさらに疎遠にし、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)抑止のための取り組みを阻害している。

 米外交官とその家族の大量帰国は、コロナウイルスの爆発的感染を受けて2月初めに始まった。それは、平和時の米外交官の脱出劇としては、史上最大級のものとなった。

 パンデミックの出発点となった武漢市に置かれた米総領事館は、1月末に閉鎖された。状況を知る人々によれば、瀋陽、上海、成都、広州の公使館、領事館の人員は、通常の20~30%に削減された。スタッフの大半は地元の中国人だ。今もこうした施設に残っているのは、必要不可欠な業務の遂行や、緊急時のサービス提供にかかわる者だけだという。

 米中関係が何十年も見られなかったような険悪な状況に陥る中で、中国内の出先施設からの米外交官の退去が起きている。2年前からの貿易戦争、そしてもっと最近では、新型コロナウイルス禍の深刻化と発生源をめぐる非難合戦が、両国の関係悪化の要因になった。

 米国が中国国営メディアに新たな規制を科したことを受け、 中国政府は17日、対抗措置としてウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストの計10人以上の中国特派員に対して記者証を無効にすると発表した 。これも世界1位と2位の経済大国間の関係断絶に関連した最新の展開だ。

 アジア・ソサエティーの米中関係センターのディレクター、オービル・シェル(Orville Schell)氏によると、中国が外国メディアを攻撃したことと米政府が米外交官を中国から退去させたことで、両国関係は転換点に向かっているという。