中国武漢に始まった新型コロナウイルス感染は、同心円を描くように韓国や日本など周辺国に拡がり、ついには米国と欧州などに拡大。12日にWHO(世界保健機関)は「パンデミック」を宣言した。
中世にペスト流行がローマ教会の権威を壊し、主権国家を生む契機になったように、その後も天然痘、コレラ、スペイン風邪などの世界への感染症の拡大が歴史を変えてきた。
現代は医学と医療が発達しており、「新型コロナウイルス・パンデミック」が歴史の本質を変えることにはならないにしても、移動の制限などで人の交流が減り、一方で疑心暗鬼や不信感が強まるなどの国民心理の変化が各国政治の自国第一の傾向をより強めることになりそうだ。
不信感強まり協調の意識が希薄に
国際政治、自国中心主義が加速
パンデミック宣言は、コロナウイルス封じ込めに各国が総力で取り組むことを促したものだが、これだけヒト、モノの相互依存関係が深まっているときに、世界が同時に感染の終息を迎えるのははるか先のことだろうし、数年先のことになるかもしれない。