企業を変革に導く存在としての「プロ経営者」に注目が集まっている。企業内の古い慣習やしがらみから自由であり、かつ顧客や市場に対する広い視野を備えているのがプロ経営者の強みだ。だがプロといっても、あらゆる案件を引き受けられるわけではもちろんない。プロ経営者が企業変革を実現するためには、どのような条件が必要なのだろうか。横浜DeNAベイスターズ初代社長の池田純氏が変革の時代におけるプロ経営者の在り方を語る。

「コラボレーション」ではなく「全面委任」

「プロ経営者」が会社経営を引き受ける条件とは
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 私はこれまで、経営者として2つの会社のトップを務めてきました。しかし、それ以外にも相談を頂いたことは何度もあります。経営者としての経験が2社にとどまっているのは、条件面で折り合った案件がその2つだけだったからです。

 私が経営者を引き受ける条件はシンプルです。旧経営者や幹部との「コラボレーション」ではなく、「全面委任」であること。そしてそのために一番分かりやすいのが、51%の株式(これは非上場の場合の話、退任後戻す契約でも構わない)、経営権、人事権が与えられることです。

 以前、ある非上場企業の創業者から、こんなご相談を頂いたことがありました。

 今のところ売り上げも利益も上がっている。会社に大きな課題があるわけでもない。しかし今後、時代に合わせてビジネスの形を変えていかなければならないだろう。そのために先手を打っておく必要がある。自分に残された時間は少ない。ぜひ力になってもらえないか──。

 引き受けるにあたり、私が提示した条件は、ある程度の株式(退任後に買い戻す契約条項付き)、経営権、人事権を与えていただいた上での全面委任であること、そして旧経営者全員に退いてもらうことでした。さらに、「社長には相談役として残っていただくことになるとは思うが、私に直接言うこと以外、従業員には一切口を出さないでほしい」と言いました。

 なぜ、そこまでする必要があるのか。前社長が残ると、会社は絶対に変わらないからです。前社長は従業員に対する影響力があります。特に創業者であればなおさら。社長が代わっても、従業員たちは前社長の立場を忖度するでしょう。人間は基本的に大きな変化を好みません。だから、仮に新しい社長が新しい方針を出したとしても、前社長が引き続き経営に携わっているのならば、「前社長のときはこうだった」という意識や配慮を捨て切れないでしょう。