知日派中国人も日本に疑惑の目
中国では徹底した対策を実施

 韓国へのバッシングも起きた。2月25日頃にネットメディアで報じられた「大量の韓国人が中国へ難民として押し寄せる」というフェイクニュースだ。実際には、韓国人ではなく、中国朝鮮族で、官製メディアは「韓国人」「難民」などの表現は使っていない。

 しかし、いかに民間のネットニュースとはいえ、報道の自由がない中国は中央政府が強力な検閲と管理をしているので、当然ながら政府の意向に忖度したものが中心となり、それに反するものは報道することが難しい。

 2月末になると筆者の中国人の知り合いからチャットアプリ「WeChat」で「日本は大丈夫か?」「日本人は危機感がない」「心配だ」というメッセージが次々と届くようになる。

 筆者が日常的に情報交換をする中国人の多くは、日本への留学経験があったり、頻繁に訪日するような、いわば日本をよく知る人たちなので、正直驚いた。

 3月初旬、イランやイタリアで感染者が爆発的に増え始めた頃から、中国政府は「中国は新型コロナウイルスとの戦いに勝利した。今や中国が世界一安全な場所になっている」と、盛んに官製メディアで発信し、10日には習近平主席が初めて武漢入りした。

 加えて、中国が国内向けに言う中国式社会主義(デジタル権威主義)vs民主主義という対立構図を描き出して、民主主義の日本や韓国、欧米は危機管理に欠落があり、大切な国民の命が守れないと、国内へアピールし始めている。

 確かに、中国のコロナウイルス対策は、他国では類を見ないほど徹底されたものだ。1月23日に武漢での現代史でも異例の都市封鎖後、北京や上海、青島、大連、延吉などの地方都市でも部分的な都市封鎖が始まり、現在も継続されている。

 たとえば、人口600万人ほどの大連(中心部は約300万人)などは、官製発表ではもう1カ月ほど感染者が19人から増えていないと強調しているものの、バスや地下鉄は乗車前に検温とマスク装着確認、飲食店は店内飲食禁止、移動制限、マンションの敷地(多くの中国の新しいマンションは小学校のように壁と門で外来者を管理している)に部外者を入れないなど、部分封鎖に近い状態だ。