もちろん私はK-1の経営実態は知りませんが、もし今回K-1が置かれた立場が、「気持ち的には自粛したくても、経営面などの理由で興行を強行せざるを得なかった」というものならば、興行を強行したことでK-1だけを一方的に非難するのも、フェアではないと思っています。

 それでは、K-1の興行についてはどうするのが正解だったのでしょうか。個人的には、感染者の増加を避けるために、政府が責任を持って止めさせることが必要だったと思います。

 しかし、実際の政府の対応は最悪でした。担当大臣である西村大臣が、主催者のK-1ではなく、さいたまスーパーアリーナの所有者でもあり会場の地元の首長でもある埼玉県知事に対して自粛を要請しただけです。政府は自らが前面に出て、主催者と直接対話して止めようとはせず、会場の所有者を通じて間接的に中止させようとしただけだったのです。

 自粛要請に法的拘束力がなく、かつ政府は中止に伴う損害を補償できる法的な根拠もないですから、このような中途半端な対応になるのもやむを得ません。

緊急事態宣言を出しても
興行を中止させるのは難しい

 だからこそ、せっかく新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正法が成立し、緊急事態宣言を出せるようになったのだから、本来政府は緊急事態宣言を出した上で、法的根拠のある対応によってK-1に興行を中止させるべきでした。

 ただここで問題となるのは、実はこの法律は、とりわけイベントを止めさせる観点からはほとんど使い物にならないということです。

 そもそも緊急事態宣言を出すには、この法律に基づいて政府対策本部が設置されていなくてはなりませんが、そうした手続き的な面はともかく、もしK-1の興行前に緊急事態宣言が出されていたとしたら、政府はどのような対応ができたでしょうか。法律の条文に基づいて考えると、その場合でも大した対応はできなかったと考えられます。