プロ野球球団やサッカーチーム、バスケットボールチームなど、近年、ネット系企業によるプロスポーツチームの買収事例が増えています。なぜネット系企業のプロスポーツチーム買収が進むのか、こうした状況の背景には何があるのかについて考えます。

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ネット系企業がスポーツチームを買いたがる理由

朝倉祐介(シニフィアン共同代表。以下、朝倉):近年、ネット系企業によるスポーツ事業への新規参入を多く見受けますね。今回は、ネット系企業はなぜ今、スポーツチームを買収したがるのかについて考えてみたいと思います。

IT系企業とスポーツチームの関わりを辿っていくと、古くは東北楽天ゴールデンイーグルスや福岡ソフトバンクホークスあたりが発端ではないでしょうか。2004年のプロ野球再編問題時のライブドア・楽天による球界新規参入騒動は記憶している方も多いと思います。

最近では、私の古巣であるミクシィのFC東京スポンサー契約や、Bリーグの千葉ジェッツ船橋の買収、アカツキによる東京ヴェルディ株式取得、サイバーエージェントによるFC町田ゼルビアの買収、メルカリの鹿島アントラーズ買収などがあります。実現はしませんでしたが、ZOZOの前澤前社長がマリーンズ買収に意欲を示したということもありましたね。

こうした一連のプロスポーツチーム買収ブームの直接的な端緒になったのは、2011年のディー・エヌ・エーによる横浜ベイスターズの買収である気がします。ディー・エヌ・エーは小林さんの前職でもありますが、ネット企業がスポーツチームを買収したがる理由は何だと思いますか?

小林賢治(シニフィアン共同代表。以下、小林):よく言われることですが、プロスポーツチーム獲得によるブランディングや広報面での効果は非常に高いですよね。例えば、野球であれば1年のうちの半分ほどの期間、新聞やTV等々のメディアで社名が連呼されます。そうすることで、世間への認知度が格段に上がります。

加えて、買収後の球団の成長がうまくいった場合、球団ファンの方々が「あの会社が経営参入し、盛り上げてくれてよかった」と前向きに捉えてくれるので、ポジティブなブランド像が定着していきます。

朝倉:横浜ベイスターズの場合は、ディー・エヌ・エーの参入によってスタジアムもきれいになりましたし、球団ファンとして嬉しいことが多かったでしょうね。

小林:企業としての当たり前の経営努力が、着実にアセットとして積み重なっていくことに意義があるのだと思います。加えて、近年の球団獲得ブームの背景には、プロスポーツチーム運営事業が黒字化できると認知されだしたことも大きく影響しているのではないでしょうか。

朝倉:以前であれば、球団経営は赤字を背負ってやるものという捉え方が一般的でしたが、その流れが変わってきたということですね。