新型コロナウイルスは経済の歴史に新たな一幕をもたらした。国内経済の大部分を人工的に昏睡(こんすい)状態にし、生命維持に欠かせない臓器を生き永らえさせながら徐々に覚醒させるという政府の試みは、かつてないものだ。過去には、中世ヨーロッパなどで、人々がペストを逃れようとして経済活動が停止し、社会秩序が大きな混乱に陥った。その他の疾病流行、例えば1918年のインフルエンザ流行時の隔離措置は限られ、経済活動が継続された。当局者らは感染と死者の発生について、経済活動を継続する代償と受け止めた。多くの国は現在、こうした方策の両方を試みることに前向きか、あるいはそれが可能と感じている。各国が期待するのは、経済活動の「一時停止」ボタンを押し、生命を救い、その後にまた「再生」ボタンを押すことだ。それが滞りなく機能すれば、現代の資本主義の柔軟性を保つ治療法となり、現代政府の創意工夫のたまものということになる。だがおそらく、多くが悪い方向に向かう可能性が高い。