米油田地帯への打撃
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 3月30日の米原油相場は、1バレル=20ドルと、18年ぶりの安値に落ち込んだ。一部のアナリストは、さらなる下落を見込んでいる。10年前には、ガソリン価格の下落は米経済に恩恵をもたらした。しかし現在、米国民の自家用車利用は減っており、米国は世界トップの産油国になっている。こうした事情から、米国の政治家たちは国内のシェールオイル生産者に対する支援策を模索しているが、良い策と悪い策をより分ける必要がある。

 米国の原油生産地帯は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による需要減退のショックと、サウジアラビアとロシアの価格戦争による供給増ショックのダブルパンチを受けている。第2四半期の原油需要は、日量1400万バレル減少すると予想されている。これは中国の全消費量に相当するほどの規模だ。

 サウジは25%もの原油増産を計画しており、これを受けて他の石油輸出国機構(OPEC)加盟諸国も蛇口を開こうとしている。石油分野の投資家と最高経営責任者(CEO)たちは、2015年と同様の感覚に陥っている。当時はサウジアラビアが米シェール産業をつぶそうとして原油を市場にあふれさせた。原油相場は1バレル=30ドルへと急落。2015年と16年に北米の100以上の産油企業が破産を申請した。

 その多くは、より大きな産油企業やプライベートエクイティー投資会社に吸収され、生き残った生産者は以前よりも効率的になった。米エネルギー情報局(EIA)によれば、テキサス州西部のパーミアン盆地とオクラホマ州アナダルコ盆地のシェール生産地帯で、各油井の産油量は5年前の約4倍に達している。ノースダコタ州のバッケン・シェール鉱区の生産性は3倍になった。

 米国は世界最大の産油国になり、2018年に新規で増えた供給分のほぼ全てを米国産が占めた。米国は3月の時点で依然として日量1300万バレルを生産している。これは2016年比で約50%増、2011年比で150%増の生産量だ。米国の生産者は強靱(きょうじん)であり、多くは価格下落に対するヘッジを行っていた。