実は、コロナショックが広がるにつれて、世界の原油価格は暴落しています。「じゃあ、オイルショックと全然違うじゃないか」と感じる読者もいるかもしれません。しかし、それでもこれから、オイルショックとよく似た危機が訪れる可能性があるのです。

 オイルショックの危機の本質は、コストプッシュインフレに伴うスタグフレーションです。簡単に言えば、モノが足りなくなり、モノの価格が急激に上がることで起きる大不況です。

オイルショック時と似た危機
スタグフレーションがやって来る

 オイルショックのときは原油価格が高騰しただけでなく、原油そのものが日本に入ってこなくなりました。そのため、繁華街ではネオンを消したり、百貨店ではエスカレーターを止めたりと、とにかく国を挙げて節約を呼び掛けたものです。それでも鉱工業生産指数は、高度経済成長期であったにもかかわらず、1974年からの2年間の平均でマイナス7.2%へと落ち込み、国内のモノの製造が大停滞しました。

 モノが手に入らないので価格が高くなる。でも給料は好況時のインフレのようには上がらない。結果、国民の生活は苦しくなる――。これがスタグフレーションです。そして今回のコロナショックでは、世界はこれと同じ危機に直面しそうです。

 現在の日本では、まだモノ不足は起きていません。オイルショック時と同じく、一時トイレットペーパーの買い占めが起きましたが、ほどなくしてパニックも和らぎました。コロナ不安が広がりを見せてから、一貫して薬局の棚に見当たらないのはマスクです。

 こうした差が生じる理由として、マスクは中国で製造しているため中国のロックダウンで製造が止まっていたこと、製造を再開したころには全世界でマスクの需要が急増しており、なかなか日本に入ってこなくなったことが挙げられます。まだロックダウンが行われていない日本で製造するトイレットペーパーとの違いが、そこにあります。