昨年後半に入ってから石炭や鉄鉱石といった資源の価格が下落していることを受けて、商社がにわかに焦りを見せている。

 8月頭に発表された総合商社の第1四半期決算発表は、伊藤忠商事が純利益ベースで前年同期比24%減の706億円、三井物産も同21%減の1044億円になるなど、丸紅を除く全社が前年を大きく下回った。

 資源価格、なかでも製鉄用に使われる原料炭の価格は、直近の1年で1トンあたり330ドルだったのが210ドルへ下落、鉄鉱石も1年で170ドルから130ドルへと、下落している。

 なかでも7月に入ってからの原料炭の落ち込みは激しく、豪州の高品位強粘結炭のスポット価格は、6月末の1トンあたり221ドルから、7月末には182ドルにまで急落している。

 背景にあるのは、中国の経済鈍化だ。それまで右肩上がりだった粗鋼生産の勢いが足踏みしているため、原料需要が減り、需給が緩んでいるのだ。商社関係者によると、中国沿岸部の港では、「それまでに発注した鉄鋼原料の在庫が積み上がっているほど」だという。

 商社といえば、2000年代後半からの資源価格の高騰に沸き、12年3月期は三菱商事が純利益4500億円、三井物産が同4300億円と最高益を叩き出すなど、他業界が羨む好調ぶりを見せていた。

 だが、その中身を見ると、純利益に占める資源分野からの利益の割合は、約4割の住友商事や丸紅を除けば、5割を越える。資源比率の最も高い三井物産においては、実に8割にも上り、総合商社が“資源会社”と揶揄されるのも納得だ。

 資源の市況が上がるに連れて新規投資を相次いで行ったことがここで仇となり、いまや商社の“アキレス腱”といっても過言ではない。