「野田総理がいつ衆議院を解散するかは重要な焦点だが、高校生であるみんながいま何を考え、どう行動するかのほうが、日本の未来にとってはもっと大切だ!」

 8月13日、私は伊豆にて開催された「第3回ヤング天城会議」(日本IBM主催)で、日本全国から集結した高校生35人に講義をした。同じく講師として、米倉誠一郎・一橋大学イノベーション研究センター教授も出席されていた。私は講義の冒頭で、上記のコメントを腹の底から発した。

高校時代から“個”を意識せよ

魂を込めて、気合を入れて語りかけた
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 講義のテーマは「多様性のある世界で必要となる力とは何かを考える」だった。私は本連載でも再三述べてきたように、「その力とは“個のチカラ”です」と高校生たちに伝えた。

 私は世界がもっとも注目し、ヒト、モノ、カネ、情報が集まる中国で約10年間暮らした。“アウェー”という戦場で、北京大学での学業の傍ら、言論の世界でさまざまな方々と意見を戦わせてきた。

 急速な発展を遂げている昨今の中国は、まさに混沌という言葉で表すのがふさわしい。ルールも規律も確立されていない言論の“戦場”において、“個のチカラ”がいかに大切で、クローズアップされるかを、私は肌身で感じてきた。一人の人間として、自らの存在感を周囲に知らしめ、自らの意見を相手に理解してもらい、局面を打開していくには、最終的には“個のチカラ”に限る。

 日本は“失われた20年”と国内外で揶揄されるが、日本の影響力が年を追うごとに低下している根本的な原因は、国際社会で実力を発揮できる“個”が育っていないからだと私は考えている。

“面の時代”から“点の時代”へ。

 日本の外では、すでに“個のチカラ”で勝負する時代になっていることを、こんな風に高校生たちに伝えた。

「資本主義か社会主義か、西側諸国か東側諸国か、先進国か後進国か、男性か女性か、政府か民間か、中央か地方か、国内か国外か、若者か高齢者か、日本人か外国人か……。これらはすべて“面の議論”だ。これからこの前提は崩れていく。いや、もうすでに崩れている。若者だって、デキる人間はいる。先進国が世界の発展を牽引するとは限らない。日本人だから日本の社会に貢献できるとも限らない」

「これからは“点”の時代に入っていく。たとえば、後進国であるネパール出身の25歳の女性が、先進国である日本の世論を引っ張る。こういう場面が日常的に起こる時代に突入していく。そして、“点”を支えるのはまさに“個のチカラ”なんだ」