「これからどうなる?」「効果はあるの?」
緊急事態宣言下で募る不安
4月8日午前中、私は緊急事態宣言が発令された翌日の東京の街の様子を観察して、気づいたことがあります。マスクをつけていない人が、結構目立つのです。指こそ差しませんが、そこ、あそこ、あの人、といった具合で、視界に7~8人が入ってくるたびに、マスクをつけていない人が1人程度の割合で見つかるような状況です。その理由については、本稿の最後で述べたいと思います。
4月7日夜、安倍総理が発令した緊急事態宣言について、メディアでは様々な疑問が投げかけられています。国民の関心事は「これからどうなるのか?」「これで効果があるのか?」の2点でしょう。それについては、どちらも大きな不安が生まれています。
不安が募る最大の理由は、政府も緊急事態宣言の対象となる都府県も、ロックダウンに踏み切らなかったことです。関係者は「最初からロックダウンなどとは、ひとことも言っていない」といった論調で語っていますが、そもそもロックダウンという言葉は、少し前まで誰も知らなかった、官邸や東京都知事が広めた言葉です。結局、彼らはそれをやらないということです。
さらに不安なのは、人々の接触を8割減らさなければ爆発的に感染が広まるというシミュレーションが前提なのに、政府からの打診もあり、東京都を除く府県が店などへの休業要請を2週間程度見送るとしている点です。一般の事務所も休業要請の対象外で、職場への出勤は「個々人の判断で自粛をお願いする」程度でしか止めることができません。試算の前提とやっている対策が、一致していないのです。
グローバルなニュースから見て取れるように、ニューヨークやパリではロックダウンが実施され、住民の外出が徹底して制限されています。ニューヨークは3月22日からロックダウンを始め、すでに16日が経ちます。ロックダウン後、新規の感染者数が目に見えて減少したのは14日目の4月6日ですが、減少したとはいえ3月22日の水準に戻っただけなので、これだけでピークを越えたと判断するのは微妙です。