ニューヨークのブルックリン病院センターで
悲しくて疲れた医療従事者
ニューヨークのブルックリン病院センター、疲れ果てる医療従事者 Photo:Anadolu Agency/gettyimages

日本もいよいよ、新型コロナウイルスに対する緊急事態が宣言される局面を迎えようとしている。経済に対する打撃は免れないが、日本より先に新型コロナの泥沼に陥った米国からは、「ロックダウンで国民の行動を制限するしかない」という声が上がる。感染拡大が顕著な米ニュージャージー州で、感染症専門医として勤務する日本人医師・斎藤孝氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

斎藤孝医師
斎藤 孝医師

――現在の状況を教えてください。

 700床ぐらいの大学病院で、感染症の指導医(臨床と研究を通じて医学生などを教育する医師)という立場で新型コロナの患者をみています。これまでのところ、呼吸困難で酸素吸入は必要だが、人工呼吸器を使うまでには至らない初期段階の症状なら、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンなど、ある程度効く薬があると分かりました。

 しかし一度重症化したら、薬はほとんど効果がありません。治験段階の薬はいくつかありますが、どれも正直なところ大きな効果は見られてない。中国や欧州から研究レポートがどんどん上がってきているのですが、どの研究でも重症化した段階での薬や治療法には決め手が見つかっていません。このウイルスの重症化のメカニズムは、まだはっきりとは解明されていません。

 そうなるともう対症療法しかない。呼吸困難になったら人工呼吸器に繋いで、それでもだめなら体外式膜型人工肺(ECMO)を使って、治すというよりも症状をなんとか緩和する。その後は患者の治癒力頼みです。そして残念なことに、人工呼吸器に繋いだ患者で「戻って来た」人はほとんどいない。

――「戻る」とは回復するという意味ですか。