新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ついに日本政府は7都府県に対して史上初となる「緊急事態宣言」を出した。それ以前から東京都など全国各地の自治体から「外出自粛要請」が相次いでいたが、このことはビジネス環境が悪化の一途をたどっていた外食産業にダメ押しとなった。
4月2日、有名居酒屋チェーン2社が相次いで臨時休業を発表した。居酒屋の鳥貴族と串カツ田中は、いずれも4月4~12日の9日間の臨時休業を決めた。鳥貴族は直営店全店394店、串カツ田中は直営店全店116店(契約上、休業できない店舗を除く)が対象だ。
さらに鳥貴族は4月9日、政府による緊急事態宣言を受けて臨時休業期間を5月6日まで延長することを決定。直営店全店に加えて、フランチャイズ店全246店に対しても臨時休業の要請をしているという。
ファミリーレストランでも同様の動きが広がった。ロイヤルホストも4月8日〜5月6日の間、都内13店の土日・祝日の臨時休業と平日の営業時間短縮(18時まで)を発表。すかいらーくホールディングス(HD)は、ガストやジョナサン、バーミヤンをはじめとする17ブランドの約2500店でやはり4月8日〜5月6日の間の営業時間を短縮し、原則22時以降の営業を取りやめた。
牛丼チェーンも同じだ。4月9日、吉野家は緊急事態宣言の対象となっている7都府県の90店が臨時休業や営業時間を短縮して営業していると発表。松屋も4月3日、当面の間、深夜営業をやめると発表した。
カフェチェーンへの影響はさらにすさまじい。臨時休業の期間がケタ違いだ。ドトール・日レスHD傘下のドトールコーヒーは4月7日、ドトールコーヒーショップ、エクセルシオール カフェなど4ブランドにおける7都府県の直営店で、4月8日〜5月6日の全日を臨時休業することを決定。スターバックス コーヒー ジャパンも4月8日、7都府県の約850店を4月9日から当面の間、臨時休業すると発表した。
外食産業は他業種と比べて資金繰りの心配が少ないとされる。最近はキャッシュレス決済が広がりつつあるとはいえ、まだまだ「現金商売」が多いため、顧客の支払いから日銭が毎日手元に入ってくる。一方、食材などの支払いは翌月以降のツケ払いという場合が多い。そんな事情から仕入れの出金よりも早く売り上げの入金があるため、資金繰りに窮するリスクが他業種よりも低いというわけだ。
ところが、日本全国を日に日にむしばむコロナ危機によって臨時休業や営業時間の短縮に追い込まれてしまえば、いくら外食産業とはいえ、資金繰りの心配が必要な企業が出てきかねない。
そこで、ダイヤモンド編集部は「『コロナに強い』外食企業ランキング」と題して、企業の短期的な支払い能力を示す財務指標である「流動比率」が高い順に外食企業をランキングした。
流動比率は「流動資産÷流動負債×100」で求める財務指標で、1年以内に返済する必要がある負債に対して、1年以内に現金化できる資産がどれくらいあるかを示すもの。この流動比率によって、外食企業における資金繰りの余裕度の高さを探った(ランキング作成方法の詳細は記事後半を参照)。
では、早速ランキングを見ていこう。