「極めて不公正、許容できない」
会社更生手続き中の半導体大手、エルピーダメモリの更生計画案に、債権者側がかみついた。
エルピーダ側の更生案は、米マイクロン・テクノロジーの完全子会社となり、総額2000億円の支援を受けることが骨子だ。しかし、一部の債権者はエルピーダには3000億円以上の価値があり、買収額が安過ぎると主張。独自の更生案を8月14日に東京地裁に提出し、対立が激化している。
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エルピーダが7月2日にマイクロンと交わしたスポンサー契約によると、まず、マイクロンが600億円でエルピーダを完全子会社化。さらに、マイクロンがエルピーダにDRAM製造を委託し、2019年までに計1400億円を分割払いする。エルピーダはこの1400億円を弁済に充てる計画で、約4200億円の負債のうち約7割が返済されない見込みだ。
この更生案に猛反発しているのが、約20の海外投資ファンドなどで構成されている社債権者グループ。約1000億円の社債を保有しているという。
社債権者グループは、マイクロンが1400億円を「支払う保証がない」ため、買収額が600億円にとどまる可能性があると主張。また、スポンサー選定の経緯も不透明だと疑問視する。
エルピーダは、破綻企業の経営陣がそのまま更生計画に関与する「DIP型」の会社更生が東京地裁に認められ、坂本幸雄社長が管財人に就いている。
社債権者グループは、管財人の坂本氏が主導したスポンサー選定について、経緯や理由が開示されないと批判。マイクロンが「坂本氏は今後もシニアレベルの地位で残る見込み」と投資家に説明したことも指摘し、「透明性を欠き、閉鎖的なプロセスでエルピーダを極めて安値で評価している」と強調する。