しかし、今やキャッシュレスは事業者より消費者にこそメリットが大きくなったと言える。コロナ感染拡大防止という、他に換えがたい効果が期待できるからだ。

現金を介した感染リスクや
対面リスクを減らせる可能性

 諸外国でキャッシュレス導入がスムーズだった理由には、現金そのものの信頼度が低い点があった。紙幣の偽造が横行したり、汚染の心配もあると考えられていたりしたからだ。日本ではまるでピンと来ないため、メリットに挙げられたこともなかったろう。

 しかし、フェーズは変わった。筆者の手元にある資料には、まさにこう書いてある。キャッシュレス化すると「硬貨・紙幣使用の公衆衛生上の問題が解消。(現金は)パンデミックを媒介する懸念も指摘される」(2018年発行の日経ムック「キャッシュレス決済革命」より)と。

 新型コロナウイルスの感染力を考えれば、誰が触れたかわからない硬貨や紙幣をやり取りすることは、それだけでリスクを高めてしまう。感染の可能性をなるべく減らすには、会計時の現金授受はできるだけ避けるべきだろう。

 また、レジでの支払いがスムーズにいけば、レジ待ちの列が短くなることも期待できる。コンビニなどで導入されているキャッシュレス専用のセルフレジで支払いをすれば、近距離で店員と会話することも避けられるだろう。

 さらに、ATMまで出かけて現金を引き出すというアクションも減らすことができる。実際に大手銀行では、デビット決済やネットでの振り込みなどを推奨し、来店を減らすよう促している。

 このように、キャッシュレス決済を活用すれば、現金受け渡しリスク、対面リスク、そして外出リスクを減らすことができるわけだ。

 これだけメリットがあるはずなのに、政府がなぜそれらをアピールしないのか、実に不思議だ。そのPR予算がないからかもしれないが、消費者は今こそキャッシュレス決済にシフトすべきだと言いたい。