福田首相が内閣改造と自民党執行部人事を断行した。福田首相は、この人事を政権浮揚につなげたい考えだが、思惑通りにいくかどうか評価してみたい。
改造前の福田内閣は
いい人材配置だった
私は、「改造前の」福田内閣・党執行部は、実はなかなかいい人材配置だったと評価している(その原型は、昨年8月に安倍晋三前首相が行った人事だけれども)。その特徴は、古賀誠選対委員長・谷垣禎一政調会長(古賀派)、伊吹文明幹事長(伊吹派)、二階俊博総務会長(二階派)、額賀福志郎財務相・鳩山邦夫法相(津島派)、町村信孝官房長官(町村派)、高村正彦外相(高村派)、甘利明経産相(山崎派)と、麻生太郎さん(麻生派)を除く派閥の領袖・次期リーダー格が政府・与党の役職に就いていたことだ。
彼らは、福田内閣が倒れたら、「共同責任」となり政治的に傷つくことになる。だから、彼らの派閥に所属する議員たちは、リーダーを守るために、福田首相を支えざるを得なかった。これまで、福田内閣の支持率がどんなに下落しようと「福田降ろし」が起きなかったのは、この人材配置が機能した結果だったと思う。
内閣改造後も
「福田降ろし」は起きない
従って、今回の「福田人事」はどうであろうか。結論から言えば大きな問題はない。派閥の領袖の多くは留任か横滑りで役職に残った。津島派のリーダーは閣外に去ったが、スキャンダルが多い額賀さんと民主党からの出戻りの鳩山さんは力不足で、反主流に回ることはない。山崎派も甘利さんが閣外に去ったが、山崎拓さんが執念を燃やす憲法改正で汗をかいた保岡興治さん(元党憲法調査会長)が入閣。山崎さんの意向に沿った人事で、反主流となる理由はない。その上、麻生さんが幹事長に起用された。麻生派の議員たちも福田内閣を支えざるを得ない。「福田降ろし」が起きる懸念は改造前より減った。