

石島:今後はどのような活動を考えていますか。
田中:現在、被災地の小学校と被災地外の小学校を結ぶ文通の企画も行っていますので、その活動を充実させたいと思っています。きっかけは、被災地の方々から「子どもたちは自分の気持ちをなかなか表現しない」とお話しいただいたことです。つらい思いなどを無理に表現させる必要はないと思いますが、気仙沼の避難所にあった「ファイト新聞」という女子生徒たちが編集した壁新聞を見て、子どもたちが自己表現をする場を作れたらと考えました。
そこで今年の1月に、山口県宇部市と福島県いわき市のご協力を得て、小学校のクラス単位でテスト版を体験していただきました。まずは自己紹介からはじめて、それぞれの地域自慢など、様々なテーマを与えながら文通を数回ずつ交わしてもらいました。宇部の子どもたちには被災地のことを身近に感じてもらう機会になったようです。
石島:手紙の書き方は授業でも取り上げるので学校側も参加しやすいとは思いますが、具体的にはどのように?
田中:ショウワノートさんの協賛で、ポケモンのキャラクターが描かれた便せんやシールなどのレターセットを作りました。「相手を思いやり、受け取った人が嬉しくなる手紙を書こうね」とか、そういうことも、スタッフを通じて先生に教えていただいています。いくつかのテーマが掲げられているので、文章を書きにくい子も書きやすかったようで、子どもたちの反応も上々でした。元気な現代っ子だなぁと思われる部分もあるけれど、やっぱりそれだけじゃない温かさのあるお手紙だったようです。なお、レターセットなど学校側の金銭的負担は一切ありません。
学年末の3月で一旦プログラムが終了し、クラス単位の文通は終わったのですが、約半数の子が先生に断った上で住所も交換して、まだ文通が続いているようです。子どものことなのでいつまで続くかは分かりませんけれど、楽しんでもらえたのかな、と思います。その後、マニュアルや運営方法などを見直し、仕切り直しをして、ちょうど参加してくださる小学校を募集しているところです。