ワシントンの戦略家たちは、この10年の大半の期間を通じて「アジアへの旋回」を唱えてきた。しかし、これを実現するためには新型コロナウイルスが必要だったのかもしれない。米下院軍事委員会の有力メンバーであるマック・ソーンベリー議員(共和)は先週、中国の軍拡をけん制するための新たな対応策に60億ドル(約6460億円)の支出を求める法案を提出した。上院軍事委のトム・コットン議員も今週、米太平洋軍の増強を求める大型法案を提出する予定だ。コットン上院議員は、われわれの紙面で最初に報じられた430億ドル規模の法案を、議会で審議される新型コロナウイルス対策の救済法案第4弾に盛り込むことを望んでいる。同議員は「米国の行動の自由および死活的に重要な海域・空域へのアクセス」を中国に制限させないための精密誘導兵器に16億ドルを投じるよう求めている。同法案はまた、太平洋地域の米国の兵器と部隊の密集度を下げて敵の攻撃に対する脆弱(ぜいじゃく)性を改善するため、軍事設計の変更に13億ドルの支出を見込んでいる。バージニア級攻撃型潜水艦1隻の追加配備など、海軍と空軍向けの大規模な新規予算も盛り込まれている。
【社説】アジアの米防衛力増強、いまこそ
中国の太平洋支配をけん制へ米議員らが法案
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