中国の研究者、石正麗氏(55)は、人間の健康に深刻なリスクをもたらすコロナウイルスがコウモリに潜んでいることを、過去15年にわたり英語、中国語とフランス語で世界に警告してきた。空を飛ぶ哺乳類であるコウモリは、現在世界を覆っているパンデミック(感染症の世界的大流行)の原因ウイルスをもたらした犯人の可能性が高いとみられている。そして、流行が最初に確認された地が武漢であることから、石博士とその勤務先の武漢の研究所に疑いの目が向けられている。中国メディアでは「バットウーマン(中国語で蝙蝠女侠)」のニックネームで呼ばれ、中国科学院武漢ウイルス研究所で新興感染症研究センターの主任を務める石氏とその同僚たちは、中国各地のコウモリ生息地から何年もかけて集めたコロナウイルスなど、大量の病原体コレクションを蓄積してきた。