誤解を解く(3)
誤:経済の見通しを考えて投資を行うべき
正:経済の見通しで運用を変えるのはうまくいかない

 運用業界では、過去の運用実績の説明も将来に向けた運用の計画の検討も、世界経済について語ることから始まる場合が多い。「経済→マーケット」という因果関係の説明が何となく落ち着くし、ありがたそうにも聞こえるからだ。

 ただし、自然に感じるということと、それを的確にできることとは必ずしも一致しないのが現実だ。

 まず、大きな前提として、市場参加者の経済に対する見通しは、既に現在の資産価格に織り込まれている。

 その上で、自分の経済見通しが運用の意思決定に対して有効であるためには、他人よりも優れた経済見通しを持つ必要がある。加えて、現在の他人の経済見通しが誤っていて、現在の資産価格が適切でないことに確たる根拠が必要だ。

 考えただけで気が遠くならないだろうか?

 さらに付け加えると、自分が得た信念がどの程度間違っているのかに関する適切な調整ができなければならない。

 以上のようなことは、経済の見通しから運用をコントロールするために間違いなく必要なプロセスだ。しかし、あえて言うなら、こうしたことをうまくできる投資家はほとんど存在しない。

 適切にできないことを無理にやろうとしない方がいい。投資家にできることは、適切な形で自分が耐えられる大きさのリスクを取って、そのリスクを持ち続けることだけだ。

 リスクを取る形はインデックスファンドでいい。

 ただし、リスクの大きさに対する検討は「あくまでも、これからの問題」としてその都度に必要だ。多くの場合、本人の人的資本を考えるとリスクがどうしても過大であるというケースは少ないと思うが、この点ばかりは自分で点検して納得するしかない。

 リスクの大きさに問題がなければ、「リスクの大きさを経済見通しに合わせて適切に調整できる」などという可能性を気にせずに、リスクを持ち続けているのがよい。