とはいえホテルの利用料金は、いったん自治体が建て替えるのか。それともホテルから東京都に請求してもらうのか。建て替え払いとなると、東京都から支払われるまでの少なくとも数カ月間は、特別に予算措置が必要になるかもしれない。

 筆者が改めて東京都保健福祉局に確認したところ、「東京都で一括してビジネスホテルを借り上げていますから、自治体に費用は発生しません。自治体は、特に支払わなくて大丈夫です」(地域福祉課長)ということであった。

 また、ビジネスホテルから生活保護を申請して、すでに生活保護が開始されている場合、自治体は家賃補助を支払わなくてよいということだ。現在のところ、5月末までにアパートなどに転居する必要はあるのだが、「当面の寝泊まりに関する費用は、東京都が支払ってくれる」という安心感は、各自治体の生活保護制度や生活困窮者支援制度の運用を、いくらか容易にするであろう。

ネットカフェ難民でいる
ことさえ不可能になる世の中

本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中

 今回は、ネットカフェ難民でいることさえ不可能になる“ネットカフェ難民“の当面の住まいとしての「東京都による借り上げビジネスホテルの提供」をめぐって、発端から現在までの約2ヵ月の動きを紹介した。

 日本の政治には、国政から地方行政まで数多くの問題がある。しかし、少しずつでも変えていくことはできる。ときに行政と厳しく対立する市民は、行政の敵ではない。行政をよりよく機能させるために必要な、強力な推進力である。

 1回声を上げてみただけでは、はかなく、かき消されて終わるかもしれない。でも、10回、100回と繰り返してみれば、事態が動くことは期待できる。大切なのは、黙らないことだ。

(フリーランス・ライター みわよしこ)