新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はフードデリバリー業界に空前のビジネスチャンスをもたらした。何百万人もの米国人が自宅に足止めを食らい、お気に入りのレストランの味を恋しく思っているからだ。
だが、同業界は数十年に一度と思われる活況のデリバリー市場で利益を稼げずにいる。グラブハブや米配車大手ウーバー・テクノロジーズの料理宅配部門ウーバーイーツなどは、配達注文を受けると赤字が増えるか、せいぜい収支がトントンだという。さらに外出禁止が緩和された後、どれだけ多くの客がデリバリーを利用し続けるのか見通せないと業界関係者は話す。
宅配各社のデータやクレジットカードの記録によると、グラブハブやウーバーイーツ、同業のドアダッシュやポストメイツの売上高は確かに増加している。
しかし、販促や安全装備のためのコスト増に加え、資金繰りの苦しい飲食店から手数料減額を求める圧力を受けており、宅配サービス会社の財務状況は悪化する一方となっている。
今後、業界再編が進む兆しもみられる。ウーバーはグラブハブに買収を持ちかけたと、事情を知る複数の関係者が明らかにした。買収が実現すれば、米国最大の料理宅配サービス会社に浮上する。