新型コロナウイルス感染拡大で食肉加工工場の操業が停止したのを受け、植物由来食品メーカーは先を争うようにスーパーの精肉売り場の空きスペースを埋めようとしている。人工肉メーカーのビヨンド・ミートやインポッシブル・フーズ、トーファーキーなどは増産に乗り出し、植物由来の代替肉製品により多くの消費者の関心を引きつけるため割引価格で販売したり、販路を拡大したりしている。時には主力の精肉製品が足りない食品スーパーチェーンの要請を受け、納品することもある。「通常の肉愛好者に試食してもらうには絶好のタイミングだ」。インポッシブル・フーズのパット・ブラウン最高経営責任者(CEO)はこう話す。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)は、2130億ドル(約22兆8800億円)規模の米食肉産業の様相を一変させた。タイソン・フーズやJBS USAホールディングス、スミスフィールド・フーズ、カーギルなどの業界大手は一時的に工場を閉鎖。米疾病対策センター(CDC)の5月1日の推計によると、5000人近い労働者が罹患(りかん)し、少なくとも20人が死亡した。