半導体製造事業に携わる人はみな、小さなことが大きな違いを生み得ることを知っている。台湾の半導体ファウンドリー(受託生産)最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は現在、回路線幅5ナノメートルの半導体を生産している。これは、ヒトDNAのらせん構造の直径の約2倍で、現在最も進んでいる半導体製造プロセスだ。同社がアリゾナに建てようとしている製造工場で使用される予定。だが素晴らしい響きを持つスペックにもかかわらず、TSMCが15日朝に発表したプロジェクトは規模もインパクトも限られることになるだろう。TSMCは同プロジェクトに来年から8年間で計120億米ドル(約1兆2860億円)を支出する計画だと話している。ただ、同社の設備投資は今年だけで150億ドルを超える見込みだ。それに、工場が2024年に完成し稼働する頃には、5ナノメートルはもはやトップ商品にカウントされていないだろう。TSMCは先月の決算発表で、3ナノメートルの製造プロセスが22年後半に量産体制に入るとの見通しを示している。