世界最大のハイテクファンドは、立ち上がりから危険をはらんでいた。現金燃焼が続く新興企業に割高な水準で投資し、およそ8兆5000億円を瞬く間につぎ込んだ。ソフトバンクグループの戦略の中であまり注目されていない部分がファンドの損失を膨らませており、回復の足かせとなりそうだ。
ソフトバンクのビジョン・ファンドは資金の約半分をわずか7社に投じたが、その大半の業界は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)で特に大きな打撃を受けた。3件は配車サービス企業で、1件はホテル事業である。もう一つの投資先である米シェアオフィス大手ウィーワークは、複数企業の従業員であふれるオープンオフィスという構想が「ウイルス禍時代」以前の遺物と化す前から、問題に見舞われていた。