あなたが次のクルマをオンライン経由で買うとしても、それが自動車業界に劇的な変化を起こすことに期待してはいけない。20年以上前に起きた「ドット・コム・ブーム」以来、電子商取引(eコマース)の破壊的な力は最も高価な消費財である自動車の分野にまで広がると予想されてきた。しかし、米国の何十年間も変わらない自動車小売りの構造に対する目立った変化は今のところ、テスラが始めた独立系ディーラーを通さない直営ショールーム方式だけだ。新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)は、業界全体にこれまで足りなかった変化のきっかけとなり得るだろうか?コロナ危機がクルマのオンライン購入を後押しするのはほぼ確実だろう。だがディーラーは、特に米国の自動車業界では非常に硬直的な部分で、他業界でeコマースが進める劇的な変革は、すぐに起きそうにない。このように変化が遅々としていることは、自動車メーカーにとっては不満でもあり、また助けにもなっている。