国際通貨基金(IMF)の予測にもあるように、今年は世界経済がマイナス成長になる公算が大きい。投資家の中には、経済成長がなければ株式への長期投資のリターンはプラスが期待できないと言う人たちがいるだろう。また、マイナス成長下では資本主義を維持できないと言う「限界論者」もいるだろう。しかし経済成長がマイナスに陥っても、資本主義も株式市場も株式投資も継続可能だ。投資家は安心してほしい。その理由を説明しよう。(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
コロナによる強制停止が緩和へ
「経済再開」の動きは止まらない
新型コロナウイルスの感染症(以下「コロナ」と略称)が世界の生活・経済・マーケットに甚大な影響を与えているが、わが国も含めて、当面の世界の趨勢は「経済再開」のようだ。わが国では外出・営業などの「自粛要請」、厳しい国では「ロックダウン(都市封鎖)」といった、経済活動の一部を強制的に停止する措置が緩和される方向にある。
コロナの感染が再拡大する可能性は十分あるが、これ以上経済を止め続けると、社会がもたない。加えて、他人の命よりも自分の生活が大事だという個々の人間の「本音」を反映してもいる。死者数の予想のような無機質な判断基準を持ち込むとしても、経済が損なわれることによる死者数も決して小さいとはいえないから、この本音の尊重が悪いとはいえない。