歴史的な悪化となった米国雇用統計。アフターコロナに光は見えるか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

5月8日に発表された2020年4月の米国雇用統計は、新型コロナウイルス禍により悪化した3月の雇用環境を大きく上回る歴史的悪化となった。さらに、直近でも失業保険を新たに申請する者は依然記録的な水準にのぼっており、5月も悪化することが見込まれる。一方、政府による行動制約は一部で緩和が始まっている。今後は感染状況の改善につれ、雇用環境も回復に向かうことが期待される。ただし、深刻な感染状況が続き、行動制約の緩和が遅れれば、米国経済は構造的なダメージを受け、雇用環境の回復ペースも緩慢に留まる恐れがある。(伊藤忠総研 主任研究員 笠原滝平)

4月単月でリーマン後1年を
超える雇用減少を記録

 2020年4月の米国雇用統計では、最も注目される非農業部門雇用者数が前月から▲2,050万人減少した。約10年ぶりの減少幅となった前月(▲87万人)からさらに悪化し、リーマンショック(2008年9月)からの1年間の累積減少幅である約▲670万人を4月単月で大幅に上回った。水準はリーマンショック後の最低水準に近づき、わずか1ヵ月にして過去約10年間の増加分を打ち消してしまった(図表1参照)。

 業種別に見ると、民間サービス部門が▲1,717万人と引き続き減少分の大部分を占めた。3月は人々の行動が制約・自粛された結果、飲食業の雇用減少が突出して多かったが、4月は飲食業(▲549万人)を筆頭に、専門・業務サービス(▲213万人)、小売業(▲211万人)、など、雇用を多く抱える業種を中心に全体を押し下げた。

 さらに、3月は相対的に落ち込みが小さかった製造業や建設業もそれぞれ▲133万人、▲98万人減少し、幅広い業種へ悪影響が及んでいることがわかる。

業種ごとに大きく異なる
コロナショックの影響

 このように「前月差」を見ることで、それぞれの業種の落ち込みが全体に与えた影響がわかるが、元々抱える雇用者数に大きな違いがあるため、新型コロナウイルスによる影響の大小が業種ごとでどのように異なるのかが把握しづらい。

 そこで、それぞれの業種について、新型コロナウイルスの影響が出る前の2020年2月の雇用者数の水準を起点にして、4月のデータを確認しよう。