大橋開通をめぐり
中国・丹東で起きた異変

高速鉄道が乗り入れる丹東駅 (旅行者より写真提供)

 実は、この新鴨緑江大橋の開通延期には丹東側も業を煮やしていたようである。なぜなら、丹東市は、この新大橋を中心とした新しい街づくりを構想し、すでに丹東市政府(市役所相当)などの主要行政施設を移設していたからだ。

 近年、中国では都市化緩和と持続的な都市発展を目的に、市街地から行政機能を分離させる政策を各地で推進している。これを受けて、丹東も行政機能を丹東駅南15キロメートルほどのエリアを丹東新区として移管させている。その中心的な存在が新鴨緑江大橋だったのだ。未開通のままでは、丹東市の描いた青写真がガラガラと崩れ去ることになる。

 さらに、新鴨緑江大橋開通で地価上昇を見込んで建設された高層マンション群も無期限開通延期で軒並み暴落、マンション建設を手掛けたデベロッパーの中には倒産した会社も出ている。

 その結果、新大橋周辺の高層マンションは完成するもほとんど人が住んでいないゴーストタウン(中国語で「鬼城」)化していた。だが現在、新大橋の来夏開通の話を受けて、新型コロナウイルス禍にもかかわらず再びマンション価格が上昇し始め、売り込み営業の連絡が入るようになっている。

 これらのマンションは、北朝鮮を望む眺望を売りにしていたので、肝心の新大橋が開通しなければ価値は半減するのも当然かもしれない。また、現時点では、対岸の北朝鮮側はアシが生い茂るだけで何もないが、新大橋開通で多少なりとも発展して見応えある眺望となることを前提としている。

 丹東は地政学的に、北朝鮮との貿易や観光業などに携わる漢民族や満州族が多く住んでいる。新鴨緑江大橋の開通延期は、丹東のここ数年の経済不況の要因になるなど、丹東と北朝鮮は政治経済的にも一蓮托生状態にあるのだ。

大橋開通と共に北朝鮮が進めたい
カジノタウン構想

 新鴨緑江大橋が再び開通へ向けて動き出したことで気になるのは、北朝鮮の新義州で計画されているカジノタウン構想だ。