日本では見ないが、実はアジア各国には「北朝鮮レストラン(北レス)」が存在する。北朝鮮が外貨を稼ぐために営業しているといわれる店だ。国連制裁の影響で、年内にも全滅するといわれる北レス。一体、どんな店なのだろうか?
今年中に全滅か
謎多き「北レス」とは
近くて遠い国「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)」の報道を見ていると、北朝鮮は、閉鎖的で孤立した国のように感じる人も多いと思う。しかし、実際には北朝鮮は162ヵ国(2017年2月時点)と国交を持っている。韓国と北朝鮮の南北両方と国交を持つ国が世界では大半なのが現実だ。
そんな北朝鮮をほんの少し垣間見ることができる場所が北朝鮮レストラン(通称、北レス)だ。中国を中心としたアジアの主要都市で最盛期には130店(中国に約100店)ほどが営業していたが、2018年1月、国連制裁の履行により半分ほどが閉店した。現在は、50~60店ほどの北レスが生き残っている。
残る北レスも国連制裁(国際連合安全保障理事会決議第2397号)により2019年12月末、つまり今年の年末で全滅する可能性が高い。なぜなら、同2397号によれば、海外で就労するすべての北朝鮮労働者を年内に帰国させる必要があるからだ。
そもそも北レスとはどんな店なのか。
北レスは、表向きは、北朝鮮の食文化や芸能、音楽などを外国へ紹介することを目的に、北朝鮮の船舶や貿易会社、ホテルなどが現地企業と合弁で経営するレストランとされるが、実際は、各国にある北朝鮮大使館や領事館が運営に深く関与しており、外貨獲得の貴重な収入源となっている。
現在は、国連制裁で合弁企業が禁止されているので、現地ローカル企業が単独で北朝鮮人スタッフを雇用して運営していることになっているが、経営実態には謎が多い。