北朝鮮は、新義州をマカオやラスベガスのようなカジノタウンにする構想を進めている。ターゲット顧客は中国人富裕層で、マイカーで新鴨緑江大橋を通って直接乗り入れて、カジノを中心としたIRで人民元を落としてもらうことを想定している。ホテルも建設されており、日帰りだけでなく、1泊してカジノ三昧できると中国側で投資を募っていた。

 この10年、北朝鮮は中国人に向けて工場や元山葛麻(ウォンサンカルマ)、三池淵(サムジヨン)といったリゾートなどへの投資を募ってきたが、朝鮮族以外からの投資は少なかった。リターンが見込めないと考えたからだろう。ところが、今回の新義州カジノタウン計画への投資は、漢民族など朝鮮族以外からの投資が圧倒的らしい。それだけうまみがあると考えられる投資と踏んでいることをにおわせる。

中国が新義州カジノタウン構想に
賛成する理由

 中国では法律で賭博行為を禁止している。賭博厳禁の建前上、国内で中国人向けのカジノを造るのは難しいのだ。北京からカジノに行く場合は、直行便がある韓国ソウルが近場となるが、中国人は韓国に入国するためにはビザが必要なので、やや面倒になる。さらに中国政府はTHAAD配備をめぐり韓国へ制裁を科しているため、メンツ的にあまり推奨できない。

 もし、丹東対岸の新義州にカジノを造れば、国民がカジノへマイカーで行けたり、今は1日数本しかない北京や上海との丹東国内線が増えたり、自家用ジェット利用増加も予想され、丹東経済の起爆剤として大いに期待できるのだ。

 しかも、中国人が新義州に行く場合は、ビザどころかパスポートさえもいらないのだ。国内旅行の延長のような感覚で行けるため、ハードルも低い。

 外貨獲得手段を模索する北朝鮮政府と中国人のガス抜き、国内での建前とメンツを守りたい中国政府、経済活性化や新区計画を成功させたい丹東市の三者の利益が合致する三者三様の思惑が、新鴨緑江大橋開通と新義州カジノタウン計画から浮かび上がってくる。

(筑前サンミゲル/5時から作家塾®)