中国企業は過去10年以上にわたり、米市場への上場で多額の資金を調達しながら、他の上場企業に義務づけられている会計監査状況の検査を回避し続けてきた。だが足元で、この金融市場の懸案事項は、政治問題に発展した。背景には、米中の経済対立が激化していることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、米国内で中国に対する怒りが強まっていることがある。上院が可決した法案(下院にも現在提出されている)は、会計監査について米規制当局の検査を受けない限り、中国企業の米上場を廃止するという内容だ。この法案によってすぐに上場廃止に追い込まれる中国企業はなさそうだ。しかしながら、極めて悪いタイミングで米中の緊張がさらに高まりかねないとして投資家は不安視している。上院で法案が可決されて以降、米市場に上場する中国大手企業の株価は急落している。世界経済がコロナ禍による打撃に苦しむ中、米中関係がさらに冷え込めば、貿易交渉の再開への懐疑的な見方が強まり、米中双方の株価を下押ししかねない。
米が中国企業の監査に狙い、対立激化で市場に不安
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