40歳を目前に会社を辞め、一生懸命生きることをやめた韓国人著者のエッセイ『あやうく一生懸命生きるところだった』が売れに売れている。韓国では25万部のベストセラーとなり、今年1月には邦訳版も刊行され、こちらもすでに7万部突破と絶好調だ。日本でも「心が軽くなった」「救われた」「共感だらけの内容」と共感・絶賛の声が相次いでいる。
天狼院書店で書店員として働き、ライターとしても活躍する川代紗生さんも、本書で心が軽くなった読者の一人だという。川代さんは、本書をどのように読んだのか? 全3回の記事を通じて、本書について語っていただいた。第2回の今回は、川代さんがSNS中毒を脱するきっかけとなった本書の一節を紹介。

『あやうく一生懸命生きるとことだった』(ダイヤモンド社)

「1日5時間SNSチェック」という最悪の習慣

川代紗生(Kawashiro Saki)
書店出身のライター。東京都生まれの27歳。全国7店舗に拡大中の次世代型書店『天狼院書店』本部担当。大学時代からWEB天狼院書店で連載中のブログ「川代ノート」が人気を得る。天狼院書店スタッフとして働く傍ら、ライターとしても活動中。メディア出演:雑誌『Hanako』・雑誌『日経おとなのOFF』ほか。2017年1月、福岡天狼院店長時代にNHK Eテレ『人生デザインU-29』に、「書店店長・ライター」の主人公として出演。

「SNS中毒」から抜け出せる日がくるとは、まったく想像していなかった。

 1992年生まれ・27歳の私はどんぴしゃのインターネット世代で、インターネットやSNSの発展とともに成長してきた。小学生の頃からカメラ付き携帯を持ち始め、中学では「前略プロフィール」や「モバゲー」が大流行し、「mixi」の全盛期とともに高校を卒業。大学では「LINE」「Facebook」「Twitter」「Instagram」をフル活用するのが当たり前だった。

 物心ついた頃から「インターネットで他人と繋がる」ことが普通の環境で育ってきたし、それに違和感を覚えたこともこれといってなかった。きっとこれからもSNSを活用しながら生きていくんだろうなと、漠然とそんな思いを抱きながら生きていた。

 まずいな、と気がついたのは、半年前くらいのことである。きっかけは簡単なことだった。iPhoneのアップデートに伴い、「スクリーンタイム」という新機能が追加されたという話を聞いた。1日にどれくらいスマホを触っているのか、どのアプリにどれくらい時間をかけているのかを計測してくれる機能だという。

 へえ、面白そうと思い、何気なくその機能を使ってみた。減らそうとも増やそうともとくに意識せず、普段の自分がどれくらいスマホを触っているのかを確かめようと思った。気軽な気持ちだった。

 驚いた。

 結果は、5時間だった。

 1週間で5時間ではない。1日に5時間である。1日のうち5時間も、私はFacebookやInstagramやTwitterを見るのに費やしていたのである。

 え、嘘でしょと思った。そんなに見ている自覚なんてこれっぽっちもなかった。せいぜい1時間か、長くても2時間くらいだと思っていた。なのに5時間って!! 映画を2本観ても時間が余るくらいの時間を、私はSNSに費やしていただなんて。

 そのときにようやく私は、自分が知らず知らずのうちに「SNS中毒者」になってしまっていることに気がついた。他人のキラキラした日常を追いかけるのが当たり前になり、自分の投稿に「いいね!」が付いているかどうか事細かにチェックしてしまう癖がついていた。高校を卒業してから一度も会っていないかつての旧友が出産し、旦那さんと幸せそうに子育てをしている日常を追いかけては、必要のない闘争心を燃やしていた。

 ……何してるんだろう、自分。

 とたんに、むなしくなった。他人と自分を比べることに費やしていた5時間。自分が吐き出した愚痴に対して「大丈夫?」と心配するコメントが来ていないかどうか何度も何度もチェックするだけに費やしていた5時間。不倫して炎上した芸能人について、周りがどうバッシングしているのかをTwitterで検索し、「みんなこんなにギャーギャー言うなんてバカだな」と冷めた目で批判していたつもりになっていた、5時間。

 何をしていたんだろう。